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Criminology Research Center(CrimRC)

犯罪学研究センター

研究 Research

龍谷大学の『伝統』と『進取』 学融領域としての『犯罪学』の必要性

本学は、母体である浄土真宗本願寺派の教誨活動の歴史と伝統を継承し、罪をおかした人を支援する実務家養成のため、1977年に「矯正課程(1995年「矯正・保護課程」に改称)」を開設しました。全国でも類をみない矯正・保護に特化した教育カリキュラムの提供とともに、内外の研究者の助力を得て研究活動を発展させ、「西日本における刑事政策研究の拠点」と評されています。

犯罪学研究センターの目的は、犯罪現象を科学的に解明し、犯罪予防と対人支援を基軸とした合理的な犯罪対策を構築することです。犯罪をとりまく現象は複雑で、その対象も多種多様です。これまで日本では、個々の学問領域において独立して犯罪現象が研究されており、学際的な交流は乏しいままでした。西洋諸国のように犯罪現象についてさまざまな研究領域・ステイクホルダーの知見を集積し、意見を交わしながら研究することはできないか?そこで、当センターでは「人間」「社会」「自然」の3つの視点から犯罪をめぐる現象を科学的に研究し、得られた成果を融合させることで、日本における新たな学融領域『犯罪学』の体系化をめざしてきました。また、これまでの活動には、国内外から多数の研究員が積極的に参画し、学際的な研究プロジェクトの体制を整えてきました。

>> 研究スタッフ紹介

龍谷・刑事政策構想「人に優しい犯罪学」

日本の矯正処遇のあり方に大きな影響を与えた「第4回国連犯罪防止刑事司法会議(コングレス)」が京都で開催されてから半世紀。2021年3月7日〜12日に、ふたたび京都において「第14回 国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)」が開催されました。これまで当センターは、この京都コングレスを意識しながら、「人に優しい犯罪学」をモットーに、対人支援を基軸とした科学的証拠に基づいた犯罪学を構築し、広く世界にアピールすることを目的に研究活動を展開してきました。そこで、京都コングレスで示された政府案と対置する市民サイドからの意見を発表することにしました。

2021年3月に開催したシンポジウム「みんなで話そう京都コングレス2021」では、「刑事政策の過去・現在・未来」をテーマに、京都コングレス・サイドイベントに参加した研究者やユースフォーラム参加学生をゲストに迎え、市民の視点で捉える京都コングレスの開催意義、当センターの目指す新時代の刑事政策構想について、参加者と共に考えました。
また、2021年6月に開催したシンポジウム「龍谷コングレス2021 龍谷・刑事政策構想 市民のための刑事政策構想〜人に優しい刑事政策をめざして〜」では、1.研究部門からの報告、2.本年3月に開催された第14回国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)の振り返り、3.「人に優しい犯罪学とは何か?」をテーマに、課題や疑問を共有するラウンドテーブル・ディスカッションを行いました。

当センターが目指す「人に優しい犯罪学」は、犯罪や非行に至る前の段階も含め、より広い視野から社会状況を眺めることで得られた知見を集積することで構想されました。その根底にあるのは「浄土真宗の精神」、ならびに市井に根付く「相互扶助」の精神です。キーワードは、“つまずき” からの “立ち直り” を支援すること。従来の司法を中心とした罰を与える対象としての犯罪者観を、福祉や教育、そして人権という観点から捉え直します。

研究会・フォーラム

当センターは、シンポジウム・研究会・セミナーなどの機会を活用して、積極的に研究成果を公表し、本学の犯罪学・刑事政策に関する調査研究・政策提言の能力を学内外および海外にアピールしています。当センターの催しで扱うテーマは多種多様です。各ユニットの研究活動報告のみならず、当センターに所属する若手研究者の報告、国内外の研究者を招聘して、社会的に関心の高い問題についても積極的にとりあげています。これまでに一般に公開した研究会・シンポジウム等の催しは、2018年度より原則として開催レポートを作成し、研究プロセスや研究を通して得られた知見を、WEBを通じて広く一般に向けて情報発信しています。ぜひご参照ください。

これまでの主要な取り組み

論文・出版・学会報告等

学会報告・論文等の研究業績

当センターの兼任研究員(本学専任教員)および博士研究員(PD)*の年度別の学会報告、論文等の公表状況の総数は下記の通りです。一見すると「論文(国内)」については減少傾向のようですが、2019年度に「学会報告(国内)」「出版物(国内)」が増加していることから明らかなように、2019年度にはこれまでの研究成果を書籍にまとめ出版するケースが多数ありました。また2019年度に「学会報告(海外)」が微増しているように、国内でとりまとめた「犯罪学」の研究成果を、国際学会での発表へと準備を進めるフェーズにあります。

しかしながら、Covid-19によるパンデミックの影響により、2020年度は学会の大半が中止または延期を余儀なくされ、研究成果の公表時期についても延期せざるを得ない状況となりました。そうした状況下においても、オンラインやハイブリット形式等で行われた招待講演が国内・海外ともに微増しています。さらに、2021年度には本学がホスト校となって6月に国際学会(アジア犯罪学会 第12回年次大会)を開催、10月には国内学会(日本犯罪社会学会 第48回(2021年度)大会)を催します。

2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
論文(国内) 67 47 41 38
論文(海外) 4 2 4 3
出版物(国内) 10 5 25 6
出版物(海外) 2 0 1 0
学会報告(国内) 4 8 19 13
学会報告(海外) 4 6 9 1
招待講演(国内) 1 2 0 9
招待講演(海外) 1 2 1 5
93 72 100 75

*集計年度時点での研究メンバーの所属に準じて算出

資料リンク

若手研究者の育成と活躍

共同研究を通じて得られた知見について、若手研究者の学会報告を奨励すると共に、論文を編著や共著として出版しています。また国際学会については渡航費の助成などを複数行っており、「龍谷・犯罪学」の国際的な知名度の向上に努めています。

その成果の1つとして、2020年7月にはブルースター研究員が、犯罪学における世界的に有力な学術誌“British Journal of Criminology”に掲載されました(>>広報『龍谷』関連NEWS)。また、ブルースター研究員は、当センターの若手研究員と共同で「犯罪・非行を研究する若手研究者のためのネットワーク(Early Career Criminology Research Network of Japan:ECCRN)」を立ち上げ、国内外の研究者が交流する場を設けています。

【若手研究者を含む主な編著・共著本】

若手研究者を中心とする国際調査「ISRD-JAPANプロジェクト」

国際比較を通じて、犯罪の加害・被害における国家間の相違点や共通点、傾向を明らかにすることを目的とした「国際自己申告非行調査(ISRD)」。現在、当センターの「犯罪社会学」ユニット、「意識調査」ユニットが協働で、ISRDの第3次比較調査(ISRD-3)から参加しています。2019年度には公立中学校でプレ調査を実施。2020年度には本調査実施と国内学会報告しました。そして2021年度は国際学会報告および国内学会報告を行いました。また、科研費を獲得し(「国際自己申告非行調査ISRD4を通じた日本の非行の実態把握と比較犯罪学の試み」/ 21H00785/)、ISRD-4の実施に向けて調査・研究を進めています。

メディア掲載

当センターでは、研究活動で得られた知見を広く一般に発信するため、ニュースリリース配信を積極的に行ってきました。Covid-19の世界的なパンデミックの状況下においても『新型コロナ現象について語る犯罪学者のフォーラム』をWEBフォーラムとして立ち上げて、積極的な情報発信をつづけています。地道な発信の成果として、これまでに、新型コロナ禍と犯罪動向の予測、犯罪学の見地からの社会現象の説明等について、複数のメディアからのコメント依頼を受けています。また、ヨーロッパ犯罪学会や日本台湾交流協会など、海外の学術関連団体からオンラインでの登壇依頼を複数受けています。

資料リンク

地域連携・社会展開

2016年の『再犯防止推進法』制定によって、地方自治体においても再犯防止事業に関する法令の整備および事業計画の策定が求められたことから、犯罪学者の協力が求められる機会が増えていいます。当センターにも複数の自治体から要請があり、個別に研究者がこれに応じてきました。

当センター「政策評価」ユニット長の浜井教授(本学法学部)は、これまで法務省が実施する地域再犯防止推進モデル事業や地方自治体(北海道・鹿児島県奄美市・奈良県・奈良市)が策定する再犯防止推進計画等に専門家として関与し、研究から得たエビデンス等の社会実装に努めています。

これらの活動を踏まえ、2019年度に京都府と「再犯防止推進に関する協定」を締結しました。さらに現在は、大阪府・寝屋川市を始めとする複数の自治体と再犯防止事業に関する共同研究体制を整備しつつあります。なお、地域課題に取り組む手法として、当センター「治療法学」ユニットメンバーが中心となって確立してきた課題共有型スキーム「えんたく」を積極的に活用していく予定です。